トマトの歴史

トマトはペルーのアンデス高原付近が原産で、元々はミニトマトのような小さな実が鈴生りになるチェリータイプだったと考えられています。

そのトマトを人や鳥類が食べながら種を拡散させ、次第にメキシコに伝わっていったとするのが有力な説です。

ヨーロッパに伝わったのは新大陸発見の頃で、実際にコロンブスが持ち帰ったのかどうかは定かではありませんが、いずれにしても大航海時代に、じゃが芋、トウモロコシ、唐辛子などと共に新大陸から旧大陸に伝わりました。

しかし、その後ヨーロッパでは、猛毒を持つベラドンナに似ていたため、毒を持つ植物と信じられ食用にされませんでした。


トマトが食用にならなかった理由

今では世界中で食べられているトマトですが、南米からヨーロッパに入ってきてから長い間、主に観賞用に使われ、食用になったのは18世紀に入ってからと言われています。

その原因の一つとなったのが、「美しい女性」です。

この「美しい女性」というのは、ベラドンナというナス科の植物で、イタリア語でBella Donna(bella=美しい、donna=女性)です。

この植物は猛毒を持つことで知られ、古くから暗殺のための毒薬や、弓矢に塗って毒矢をつくることにも用いられたそうです。
トマトはこのベラドンナに似ていたため、トマトも毒を持つと信じられ、食べられることがなかったといいます。

ベラドンナは、植物全体に毒性があり、その成分を摂取すると幻覚、錯乱、呼吸困難などを引き起こし、昏睡状態に陥ったり、最悪の場合は死に至ります。

根には特に強い毒性があり、葉に触るとかぶれたり、潰瘍ができてしまうこともあります。

実は甘いらしいのですが、2〜5粒食べると大人の致死量になるので、絶対に食べてはいけません。

不思議なことに動物の種類によっては、食べても中毒症状が起こらないようで、犬や猫などは中毒になりますが、牛やウサギ、鳥類などは中毒症状を起こしません。しかし、ベラドンナを食べた牛やウサギを食べた場合、人間が死に至ることもあるようです。

こんな猛毒を持つ植物が、何故「美しい女性」の名前を持っているのでしょう。

それは昔、少しでも美しくありたいと思う女性達が、ベラドンナの成分を抽出して点眼し、瞳孔を開いて眼を美しく見せることに使っていたからだそうです。瞳孔が開くと、瞳がキラキラとして大きく美しく見えるのだとか。

瞳孔を開くのはアトロピンという成分で、今でも眼科の検査時などに散瞳の薬として使われています。
その他、麻酔前投薬や鎮痛剤としても用いられ、胃潰瘍の時などに処方される他、サリンなどの解毒剤として使用されることもあります。



 

トマトを食べるようになったのは南イタリアから

そのトマトを最初に食べたのは、飢餓に苦しむ南イタリアの青年だったとのことです。

空腹に耐えかね、観賞用のトマトを食べてみたところ、死なないばかりか美味しいことを発見したのです!

それから、トマトは、地中海沿岸の南ヨーロッパを中心に、食用に広まっていきました。こうしてマルタの主要農産物の一つになっていったわけです。

 

北米でのトマト食用の歴史は1520年から

意外なことに、南米原産のトマトが北米で食べられるようになったのは、ヨーロッパよりも更に200年以上遅れたそうです。

アメリカでもやはり、毒入りだと信じられていていたそうですが、1520年にニュージャージーの農場主でもあったロバート・ジョンソン大佐が、自分で育てたトマトが食べられることを証明するために、町の裁判所前に人々を集めて、トマトを食べてみせ、毒がないことを示して以降、食用として認知されるようになったとか。

この様子を見ていた人の中には、気絶してしまう人も出るほどだったようです。また、ジョンソンの勇気ある行動を称え、後にジョンソン・デーというお祭りも開催されていたそうですから、今では信じられないような話ですが、当時の人々にトマトはかなり恐れられていたようです。

アメリカではその後トマト料理が普及しますが、今度は、当時の税法では、果物は無税だったものの、野菜には関税がかかっていたので、「トマトは果物か野菜か」の論争が巻き起こります。
結局、裁判で悩みに悩んだ挙句に「トマトは野菜」という判決が下されました。

 

日本でのトマト食用の歴史は江戸末期頃から

日本にトマトが入ってきたのは17世紀ということですが、やはり当初は専ら観賞用に使われ、食用の歴史は、江戸の終わりか明治に入ってからだったそうです。




 

トマトの種類

日本のトマトの品種登録だけでも120以上になるということです。
       
色々な種類分けがありますが、色による区分では主に、赤系、ピンク系、緑系に分けられます。 
      
日本で一般にトマトと言われているものは、ピンク系になります。
              
イタリア料理や地中海料理で使われるトマトソースは、赤系トマトで作られています。

 

トマトといえばリコピン       

リコピンはカロテノイドの一種で、強い抗酸化作用があるとされています。
カロテノイドで有名なものにはβカロチンがあります。
       
抗酸化作用とは、体が酸化するのを防止する、つまりアンチエイジングに役立つ成分です。   
    
リコピンの抗酸化作用は、βカロチンの2倍、アンチエイジングの栄養素として知られるビタミンEの100倍と言われています。
       
このリコピンは、トマトの赤い色素の中に含まれていることが分かり、より赤いトマトが注目されるようになっています。
        
最近ではリコピンに関する研究がすすみ、抗酸化成分だけでなく、美肌・美白効果や、肥満防止効果、血糖値を下げる効果、悪玉コレステロールを減らし動脈硬化を防止する効果、記憶力低下を予防する効果まで報告されています。

 

熱に強く油に溶けやすいリコピン      

これだけ良いこと尽くめのリコピンは、ありがたいことに熱に強く、加熱しても栄養成分が減ることがないことが確認されています。
       
しかもリコピンは、油に溶けやすいという性質があるので、油脂と一緒に取ることによって吸収率がより高まります。

トマトはイタリア料理や地中海料理では、オリーブオイルと一緒に使われることが多いのですが、これはリコピンを有効に摂取することができる調理法です。